調達部の内海様・矢田様・宮下様・大山様に、
MonotaRO利用の効果についてお話を伺いました
ANAホールディングス株式会社調達部 FORTUNEチーム (写真左から)矢田様、内海様、大山様、宮下様
1.調達部門の組織について(過去と現在)
【歴史の変遷】
(内海様)ANAグループ調達部の役割として、過去は航空機や燃料のような直接材の調達が中心でしたが、近年は直接材以外の間接材領域も扱う部門として、調達部が担う役割や範囲が拡大し、人数も増えてきております。ANAグループの間接材は多岐に渡ることもあり、全てに調達部が関与するのではなく、金額や総量等を軸に基準を設けた上で、各現場が必要な”モノ”を必要なタイミングで調達することができる調達システムを導入しています。
現在はORACLE社の調達システム(弊社内名称 FORTUNE)をANAグループで導入し、私共はFORTUNEチームとして調達システムの運営と利用促進を目指した活動を担っています。
【調達部 ~FORTUNEチームミッションについて】
(内海様)調達部 FORTUNEチームのミッションは、「調達システムであるFORTUNEの利用率向上、それによる業務改革とコスト削減」です。調達システム利用を促進する理由の一つとして「間接材調達の見える化」があります。
(矢田様)なぜ私共が間接材調達の見える化にこだわったか。数年前、調達における現状分析をするために、数十万枚に渡る1四半期分の支払い経理伝票を全て目視でチェックしたことがあります。
約3ヶ月の膨大な時間を費やしたにも関わらず、そこから分かったことは「何も分からない」という事実だけでした。商品明細が付いていない・記載項目が統一されていないなど、何に対する支払いか等の記録が不明確であったことから、調達システム未利用における根本的な問題が明らかとなりました。まずは調達システムを通して「いつ・誰が・何を・どのくらい」といった業務の見える化から改善活動をスタートしようという話になりました。
(内海様)見える化が進んだことで、『この物品は統一して調達した方がコスト削減になる』『システムを経由することで雑多な商品の調達に掛かる時間が削減できる』などといった、次ステップの「コスト削減、業務効率化」領域に取り組むことができるようになったと思います。
2.間接材調達システムにおける課題
【調達システム利用における課題】
(内海様)調達システム利用を推進する上で、重要な指標は利用率です。FORTUNEの前身である別の調達システムでの利用率は望ましいもので無く、課題を抱えていました。課題は大きく2点あり、
①経理システムとの連携に難点がある
②物品の品揃えが期待を下回る
という点でした。
①に関して、当時の調達システムでは届いた請求書を経理システムに手入力する作業が残存しており、購入者と経理担当者が異なることもあって、請求処理に大幅な工数が発生していました。
そこで経理システムと連携可能な調達システムを導入することで、業務の効率化が図られ、ひいてはシステム利用率の向上にも繋がるだろうと考えました。
②に関して、ANAグループには幅広い業種の企業があり、例えば航空運送事業や建物設備保守事業など業種や職種によって必要とする物品は大きく異なります。どの企業も調達システム内で全てを揃えることができる状態であれば、調達システムの利便性を感じてもらえ、利用率向上に繋がると考えたため、特に「物品の品揃え」は重要な要素でありました。
(矢田様)以前の調達システムでは、ユーザーによってはシステム内で提供されているカタログの品揃えから目当ての品を見つけることができず、システム外の調達を多用するケースも見受けられました。
そこでシステム切り替えを機に、ユーザーの求める物品がしっかりと見つかり、「システム内カタログの豊富な品揃え」を実感できることが命題でありました。そのために接続するサプライヤにはご協力をお願いする必要がありました。
3.新システムへの接続サプライヤとして
【接続するサプライヤ】
(内海様)「物品の品揃え」を追求する上で、現状カタログに無い物品を調達システム内に登録していくのが従来の方式ですが、カタログ化にも限界があります。そこで重要なのはカタログサイトを運営するサプライヤと”パンチアウト連携”し、そのサプライヤの力を借りて「物品の品揃え」を豊富にしていくことです。
新しく導入した調達システムFORTUNEには、以前のシステムと同様にパンチアウトカタログ連携機能があり、移行するタイミングを機に接続するサプライヤ様には前身のシステム以上のサービスレベルを求めました。
システム利用率向上における課題でも述べたように、複数の企業・部署が多様なシーンで間接材を調達する際には、システム内で何でもモノが揃えられ完結できる状態にしなければならない。その実現のために、「品揃え・価格・品質・サービス・システムとの相性」この観点から総合的に判断し、それぞれ特色と役割を明確に示されたサプライヤへ接続をお願いすることにしました。
【新システム FORTUNE への連携対応】
(矢田様)システムへの接続サプライヤを熟考した中で、必然的にモノタロウ様へは期待感を持ってプロジェクトの声掛けをしました。以前のシステムでの利用状況を分析したところ、当時から幅広い企業・部署でモノタロウ様からの購入が多く見られ、購入する商品群の範囲も広かった印象です。新システムへの連携プロジェクトにおいて、弊社の求めるスケジュールや仕様に合わせた柔軟な対応が印象に残っています。キックオフからシステム本格稼働まで、モノタロウ様・ORACLE様・弊社3社で定例ミーティングを行い、週次単位で進捗や問題点などを明確化し、それを1つずつ潰し込んで安定したプロジェクト進行が実現できました。
加えて、調達システム側で商品の検索結果が反映される「横串検索」の実装も課題の一つでした。これを実現するためにはモノタロウ様側で新たな開発が必要でしたが、営業部門に加えてIT部門担当者も交えたミーティングを実施するなど、弊社の意図と齟齬が無いよう調整し、開発を着地させることができました。モノタロウ様に関しては連携での開発費用・運用費用が一切掛からない部分も、非常にありがたかったですね。
4.モノタロウの貢献
【調達システムの変化】
(内海様)新たな調達システムFORTUNEへ切り替えてまだ日は浅いですが、少しずつ成果が出ています。調達システム利用率は、以前のシステムでは30%に満たない利用率でしたが、40%を超える利用率まで伸長しました。まだまだ発展途上ではありますが、カタログ外注文の減少など、着実に成果が付いてきているように感じます。
利用率向上には、ANAグループ各現場が必要な物品をFORTUNEで簡単に見つけられるようにしていくということが大きなポイントです。各現場において、必ずしも間接材に精通した人ばかりでは無い中、工具・警備・設備保全・清掃用品…とどこで調達すべきか分からない物品が、FORTUNE経由のモノタロウ様ならばすぐに見つけて購入できるという利点は、間接材調達において発生する目に見えない人的コストの削減に繋がっていると実感します。
また、モノタロウ様の営業担当者様からは、購入実績を元にした提案、例えば現行購入している物品を値頃なプライベートブランド品に代替するコスト削減例や、業界全体の購買傾向など、さまざまな情報提供をいただき、今後の改善の指針とすべく、参考にさせていただいています。
5.Withコロナの時代
【在庫を切らさない / 持ちすぎない】
(宮下様)今後新型コロナウィルスへの対応だけでなく、私達の想像を超える事態がいつ発生するか不明瞭な中、在庫の考え方も資材の種類によって柔軟に変化させる必要性を感じます。
ANAグループの調達した物品を必要とするのは社員だけに限らず、弊社をご利用いただく全てのお客様も同様です。マスクなどの衛生関連商品はとにかく在庫を切らさず且つコストを抑えることが重要である一方で、通常の間接材は不必要な在庫保有を避けるべく、必要な数量をタイムリーに発注することでコストを抑えることも重要です。
モノタロウ様の場合は、小ロットの注文や短納期の配送が可能なので、平常時/緊急時双方のニーズに適したサービスと捉えています。Withコロナで世の中が大きく変化する中、モノタロウ様には今までにない品揃えとサービスで、調達における利便性がより高まることを期待しております。
6.ANAグループ調達としてのこれから
【調達システムを通じて、業務改革を実現させる】
(内海様)私共の最大の目標は調達システムFORTUNEの利用率を100%まで引き上げることです。もちろんこれは決して簡単な数字ではないですが、サプライヤ様との連携・協力を強化すると同時に、FORTUNE活用の啓蒙活動や現場の意見をシステム運営に反映させる活動を積み重ねることで、FORTUNE利用率の着実な向上を目指しています。また、FORTUNEは単に物品の購買だけでなく、役務などのサービス購買へも適応領域を拡大させ、オフラインで行われている全ての業務をオンラインにて完結させることを実現させるべく取り組みを行っております。
これからの世の中は私達の想像する以上に、目まぐるしい変化を遂げていくように思います。その変化に併せて人の働き方も大きく変化してきましたし、これからも変化をし続けていかなければなりません。過去は仕事に併せてシステムを作るのが通例でありましたが、優れたシステムであればそのシステムに合わせて業務フローを変化させる、システムに適応させていくという考え方が、業務改革にとっては非常に重要であるように思います。
調達システムでの改革が進めば、それは自然と真の働き方改革の実現にも近づきます。今後もユーザー、サプライヤ双方から情報を収集し、調達システムを通じた業務改革の必要性を発信し続けていきたいと思います。今後ともモノタロウ様にはお力添えをいただきたいと思います。