購買管理システム比較|失敗しない6つのチェックポイントと選定手順

はじめに

購買管理システムの導入を検討されていて、システム選定で失敗する企業には共通点があります。それは「比較の観点が曖昧」なまま進めてしまうことです。

モノタロウは大企業4,000社以上への導入支援を通じて、成功する選定方法とよくある失敗パターンを把握しています。

本記事では、購買管理システムを比較する際に必ず確認すべき6つのポイントと、企業タイプ別の選定基準を具体的な事例とともに解説します。

購買管理システムを比較する際の必須チェックポイント

システム比較の6大チェックポイント

No.チェックポイント確認内容
1導入目的の明確化なぜ導入するのか?定量的な目標は?
2機能面本当に必要な機能だけに絞れているか?
3連携性既存システムとスムーズに連携できるか?
4操作性現場スタッフが直感的に使えるか?
5拡張性将来の変化に対応できるか?
6サポートの充実困ったときにすぐ相談できるか?

それでは、各チェックポイントを詳しく見ていきましょう。

【導入目的の明確化】すべてのて台となる重要ポイント

購買管理システム選定で最も重要なのは、「なぜ導入するのか」という目的を明確にすることです。多くの企業が機能比較から始めてしまいますが、それでは本末転倒です。

▼失敗事例

A社(情報通信業、4,000名)では、「DX推進」という経営陣の号令のもと、トップダウンで導入を決定。しかし現場への目的周知が曖昧で、1年後の利用率は20%以下に。

成功のための確認事項は、例えば下記があげられます。

・導入目的の優先順位を明確化する(例:コスト削減、業務効率化、内部統制)
・各目的に対して、定量的な目標値を設定する
・システムのデモで、その目標が達成可能か具体的に検証する
・導入6ヶ月後の成功イメージを言語化できるか

【機能面】自社の購買プロセスに必要な機能を見極める

購買管理システムの機能は多岐にわたりますが、すべてを使いこなす必要はありません。重要なのは、自社の購買プロセスに本当に必要な機能を見極めることです。

▼失敗事例

多機能なシステムを選んだB社(小売業、5,000名)。しかし現場にとっては不要な機能が多く「かえって使いにくい」と不満が続出。結局、現場は以前のExcelでの申請業務に逆戻り。

成功のための確認事項は、例えば下記があげられます。

・現在の購買プロセスで最も時間がかかっている作業は何か
・その作業を効率化する機能があるか
・段階的に機能を追加できる拡張性があるか

【連携性】既存システムとの連携確認方法

多くの企業で見落とされがちなのが、既存システム(ERP/会計システム等)との連携性です。基幹システムとの連携ができず、結果として二重入力が発生し、かえって業務負荷が増加してしまうケースもあります。

▼失敗事例

C社(商社、3,000名)は高機能システムを導入したが、基幹システムとの連携不可。経理部門が毎日2時間の転記作業で、年間500時間の工数増。

成功のための確認事項は、例えば下記があげられます。

・APIやCSVでのデータ連携が可能か
・連携実績のあるERPパッケージは何か
・カスタマイズなしで連携可能な範囲はどこまでか

【操作性】現場が使いこなせるUIの判断基準

高機能でも現場が使えなければ意味がありません。操作性の悪さは利用率低下に直結し、導入失敗の要因となります。

▼失敗事例

IT部門が主導し、高機能なシステムを選んだD社(建設業、8,000名)。しかしITに不慣れな現場の意見を聞かなかったため、「複雑すぎる」と利用せず。結局、電話やFAXといった昔ながらの発注方法が依然として残ることに。

成功のための確認事項は、例えば下記があげられます。

・デモ環境で実際の業務フローを試せるか
・スマートフォンやタブレットでの操作性
・現場担当者による評価の機会を設けているか

【拡張性】将来的な業務拡大への対応力

初期導入時には想定していなかった要件が、運用開始後に発生する場合があるため、2〜3年後の組織変更や事業拡大を見据えた選定が必要です。

▼失敗事例

E社(機械メーカー、2,000名)は国内専用の安価なシステムを選定。2年後の海外進出時、多言語非対応で別システムの導入を余儀なくされた。

成功のための確認事項は、例えば下記があげられます。

・ユーザー数や取引量の増加に対する料金体系
・新たな承認ルートや購買カテゴリーの追加が容易か
・グローバル対応の可能性

【サポート】導入後の支援体制

システムは導入して終わりではなく、運用フェーズでのサポートが重要です。

▼失敗事例

価格の安さでシステムを選んだF社(医療機関、1,500名)。エラー発生時にサポートが機能せず、問い合わせがIT部門に殺到。現場は取引先への直接連絡に追われ、本来の業務が圧迫される事態に。

成功のための確認事項は、例えば下記があげられます。

・サポート窓口の対応時間と方法(電話、メール、チャット)
・導入後の定期的なフォローアップ体制
・ユーザー向けフォローの実施頻度と内容

購買ケース別の比較検討の進め方

まずは、よくある購買ケースをまとめた以下の一覧表を参考に、自社がどのタイプに近いかをご確認ください。

【購買別 重視すべき機能一覧表】

購買ケース該当する業界例よくある課題重視すべき機能
A. 多拠点・多部門型:
全国に事業所がある
小売チェーン
全国展開サービス業
・拠点間のルール不統一
・購買データの分散
・配送ミスの多発
・拠点別権限設定
・本社一元管理
・配送先管理の柔軟性
B. プロジェクト型:
案件ごとに購買が発生
建設業
イベント会社
・予算超過の把握遅れ
・承認の遅延
・プロジェクト別集計が困難
・プロジェクトコード管理
・臨時承認ルート
・予算消化状況の可視化
C. 研究開発型:
特殊な物品購買が多い
製薬
化学
メーカー
研究機関
大学
・特殊品の発注ミス
・納期管理の複雑化
・品質トラブル
・仕様書添付機能
・カスタム発注対応
・専門サプライヤー管理
D. 現場作業型:
現場からの発注が多い
製造業
物流倉庫
メンテナンス業
・在庫切れによる作業停止
・現場の入力負荷
・承認の遅れ
・スマートフォン対応
・在庫連動機能
・自動補充設定
E. 管理部門集中型:
総務・購買部門が一括
オフィス中心企業
本社機能
・発注業務の属人化
・繁忙期の業務集中
・コスト削減の限界
・一括見積機能
・定期発注自動化
・取引先評価機能

以下では、よくあるケースごとに、より詳しいチェックリストをご用意しました。自社に近いケースの詳細をご確認いただき、システム選定にお役立てください。

ケース別の最重要チェックポイント

A. 多拠点・多部門型(全国に事業所がある企業)

権限設定が不十分だと、本社のガバナンスが効かない、または現場の業務が停滞するという問題が発生します。

優先チェック項目:権限管理の柔軟性

□ 拠点・部門・役職別に細かく権限設定できるか
□ 本社統制と現場裁量のバランスを調整できるか
□ 組織変更時に権限を一括変更できるか

B. プロジェクト型(案件ごとに購買が発生)

プロジェクトへの紐付けができないと、プロジェクト別の原価管理ができず、収支が不明確になり、現場・経理部門の業務負荷が増大します。

優先チェック項目:予算管理機能

□ 発注時にプロジェクトコード/番号を入力・選択できるか
□ 購買品目ごとにプロジェクトへの紐付けができるか
□ 会計システムへプロジェクトコード付きでデータ連携できるか

C. 研究開発型(特殊な物品購買が多い)

必要な商品が探しづらい、見つからないシステムでは、システム外購買が発生してしまいます。

優先チェック項目:商品検索と特注対応力

□ 詳細なスペック検索が可能か
□ カタログ外商品の見積・発注に対応しているか
□ 過去の購買履歴から類似品を検索できるか

D. 現場作業型(現場からの発注が多い)

現場スタッフが使いづらいシステムは利用されず、従来の非効率な購買方法が続いてしまいます。

優先チェック項目:モバイル対応と操作性

□ スマートフォンで全機能が使えるか
□ 画面が見やすく、ボタンが押しやすいか

E. 管理部門集中型(購買部門が一括管理)

手作業が多いシステムでは、購買部門の業務負荷が減らず、導入効果が限定的になります。

優先チェック項目:一括処理と自動化機能

□ 複数の発注を一括処理できるか
□ 大量データのアップロード、ダウンロードが可能か

段階的導入アプローチ:リスクを抑えた検証方法

購買管理システムを比較検討する際、機能・価格だけでなく「スモールスタート可否」も重要な比較基準です。大規模投資前に効果検証できるシステムを選ぶことで、失敗リスクを最小化できます。

スモールスタート可能なシステムを選ぶメリット

購買管理システムを比較検討する際、機能や価格だけでなく「導入リスクをどう抑えるか」も重要な比較ポイントです。

全社一括導入しか選択肢がないシステムは、初期投資が大きく、失敗時のリスクも高くなります。一方、1部門や1カテゴリーから始められるシステムなら、実際の効果を確認しながら段階的に拡大できます。

比較時は、最小導入単位、初期費用の有無、契約期間の縛り、機能の段階的追加が可能かを確認しましょう。また、導入後の効果測定機能(利用率や削減額の可視化)があるかも重要です。これらの機能があれば、投資対効果を定量的に検証しながら、導入範囲を広げる判断ができます。

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まとめ:購買管理システムの比較検討を成功させるために

購買管理システムに「万能の正解」はありません。

① 6つのチェックポイントで要件整理

② 自社の業界や購買特性から優先事項を特定  

③ スモールスタートでリスク回避

この手順で、ぜひ自社に最適な購買管理システムを見つけてください。購買業務の効率化と最適化により、企業の競争力強化につながることを願っています。

導入を成功させるための参考情報

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