間接材購買改革およびMonotaRO利用までの歩みについて
ご担当者様にお話を伺いました
三井化学株式会社(写真右から)三井化学株式会社 購買部 間接材グループ 平川様、石川様
三井化学株式会社・三井化学グループの概要
三井化学株式会社様の事業紹介
三井化学株式会社様(以下、三井化学様)は、東京都中央区に本社を置く日本の大手総合化学メーカーです。三井鉱山の石炭化学事業を祖とする歴史は111年以上になります。
事業内容は幅広く、
・ライフ&ヘルスケア・ソリューション(スペシャリティケミカル・食品・健康・医療関連等)、
・モビリティソリューション(自動車分野の材料等)、
・ICTソリューション(半導体材料・電子部品・光学材料等)、
・ベーシック&グリーン・マテリアルズ(フェノール・PTA・ポリウレタン・グリーンケミカル等)
など、多様な事業領域を持っています。
また、グローバルにも広く事業を展開し、メガネレンズ材料や自動車材PPコンパウンドなどの製品では世界シェアのトップクラスを占めています。
三井化学様は、素材の革新を通じて地球環境との調和や社会課題の解決を目指していらっしゃいます。特に近年は、デジタル技術やバイオ技術など新たな分野にも注力し、「未来技術創生センター」における未来社会を見据えた技術研究にも取り組んでいます。
先進的なDXの取り組み
三井化学様では、2030年に向けた長期経営計画「VISION2030」を策定され、その中で「DXを通じた企業変革」にも取り組まれています。また、三井化学購買部様は、購買DXの一環として、24年度から「サプライチェーン情報管理の高度化・効率化を目指す調達プラットフォーム※1」の開発に着手し、「人権尊重・サーキュラーエコノミーまでを含めた新しいサプライヤー管理」の強化実現に取り組まれています。
※1https://jp.mitsuichemicals.com/content/dam/mitsuichemicals/sites/mci/documents/release/2024/241002.pdf
間接材グループとそのミッション
ー購買部 間接材グループは、2019年に発足し、間接材購入の効率化・一元化に取り組まれています。また、少人数体制で効率的にシステムを活用し、全社管理を進めるために、BPO(Business Process Outsourcing)の活用・管理も進められています。
(平川様)購買部間接材グループのミッションは、三井化学グループ全体における間接材購買業務の「支出の可視化」により「コンプライアンス強化」「コスト削減」「業務効率化」を実現することです。
同時期にSAP-Aribaシステム(以下「Ariba」)を導入し、ミッション実現のためにより多くの社員にAribaを活用していただくための活動を推進しております。
Ariba導入後の購買改革の取り組み
―三井化学様では、全社的な間接材購買改革のため2020年にAribaを導入。Aribaを導入してからの取り組みをお聞きしました。
2020年にAribaを導入
― Aribaを導入された経緯についてお聞かせください。
(平川様)Ariba導入前は、工場は工場ごとの購買グループで、本社・研究所は各部署がそれぞれに個別で物品を購買しており、全社管理・統制はできていない状態でした。コスト削減のスケールメリットや品目ごとの適切な標準仕様もなく、そのような状態を改善するためにAribaを導入しました。
Aribaを利用浸透させるための取り組み
(平川様)導入当時から、パンチアウトカタログの接続やローカルカタログの活用を行っていましたが、直後にコロナ禍に入ってしまい、社内で各拠点とのコミュニケーションも円滑に取れず、推進活動も思うようにできませんでした。
導入から2年ほどしたタイミングで、経営幹部を説得し、社長メッセージとして「Aribaを使用する意義」「コスト削減やコンプライアンス強化の意識」などを改めて発信してもらいました。
また購買部間接材グループからも、経営会議などでAribaを使用する意義や活用促進の取り組みを説明することで、徐々に浸透させることができました。
データの集計・モニタリングができる体制の構築
―実際にAribaの利用促進を進める中で、具体的にはどのような発信や取り組みをされていたのでしょうか。
(平川様)DX推進本部全体で、Aribaの通過率を上げるための体制を組みました。
通過率向上の推進に関しては、年3回ほどの経営会議や各部署との個別打ち合わせを実施し、取り組んできました。
また、各部署への説得材料として、データの活用の工夫も行いました。
実際に、1つ1つの取引をチェックしたり、工場や部署単位でAribaの通過率や、商品の品目ごとの通過率、Ariba以外での支払金額/購買金額などを資料にし、特に通過率が低いところは色分けをして明示できるようにしました。
Ariba活用の一環として、月次でデータを確認でき、通過率をモニターし要因分析をできるところまで仕組みを作りこみ、現在でもその活動を続けています。
各種課題と取り組み状況
(平川様)「コスト削減」に関しては、Aribaを導入してから徐々に改善しましたが、さらに徹底的に進めるべきであると感じています。
(石川様)間接材グループとしては、「コンプライアンス遵守」の観点からも購買プロセスをAribaに一元化していきたいと考えているので、現場への理解を求めていくことは引き続き必要だと考えております。
また「業務効率化」に関してもまだ途上と自覚しております。その一例として、パンチアウトカタログで購入できる商品を都度見積・発注で購入する処理が、まだ一部ですが残存しています。
モノタロウを後発で接続した経緯と過程
―お話を伺う限り、社内関係者と協議を重ねながらAribaの活用により購買管理を大きく推進していらっしゃった三井化学様ですが、2024年にモノタロウを新たにパンチアウト連携先としてご検討・接続いただいた背景をお聞きしました。
新規事業での部品調達をきっかけに、現場からモノタロウの接続希望を受ける
(平川様)新規事業部のほうで、新しくロボットを作る事業が発足し、その製造過程で必要な部品等の調達が必要になりました。そこで新規事業部から要望があり、必要な物品の取り扱いがあるサプライヤーを接続したい、ということでモノタロウが候補に挙がりました。
後発サプライヤとしてモノタロウの接続を即断
―モノタロウ接続のタイムラインとしては、6月に初回打ち合わせをさせていただいてから、12月には既に利用開始をされています。このようなスピードは非常に速いと思うのですが、何かそのご決断の背景はありましたか。
(平川様)現場から強い要望があったので、その要望に応えたいという強い気持ちがありました。現場から直接の要望を受ける機会はまだ多くないですが、現場で買いづらい、買いたいものがあるといった要望がある限り、早めに取り組む必要があると考えています。
Ariba未導入のグループ会社ではONE SOURCE Liteの導入を検討
―また、Aribaを導入していないグループ会社についても、モノタロウの初期費用・運用費用無料の購買管理システムONE SOURCE Lite(以下「OSL」)を導入いただきました。
(平川様)この機会に購買管理の範囲を広げ、ボリュームメリットなども活かしていきたいと考え、導入を決定しました。
(石川様)導入に際し、グループ会社の管理者に向けて計2回の説明会をモノタロウさんと共に実施しました。OSL導入開始から時間が経っていないため、活用しているグループ会社はまだ少ないですが、これから利用を拡大していきたいと思っています。
接続した結果、新たに見えてきたニーズ
―モノタロウを接続・利用開始した結果、現時点でのご利用状況や購買部間接材グループのお二人のご感触をお聞きしました。
ご利用実績の順調な伸長・現場からのポジティブな声
―モノタロウをパンチアウト連携されてから、カタログ経由でモノタロウを買っていただく実績が非常に順調に伸びています。
(平川様)接続開始後、Aribaを通しての購買に関しては、新規事業部に限らず多くの部署でモノタロウが使われているようです。
(石川様)先日研究所に訪問し、ヒアリングしたところ、モノタロウのカタログを以前から知っている人が多くいました。「前の職場でもなじみがあった。ついに(モノタロウが当社にも)入ってくれた」という反応もありました。
また、実際に使ってみて、「今まで届くまでに1週間かかっていたものが1日で届くようになった」「ほかで見つからないものが見つかる」という体感の声が意外と多いなと感じました。
もっと早くモノタロウを接続してもよかったと今では思います。接続後の立ち上げがスムーズだったのは、現場のニーズが既に高まっていたことが最大の要因なのかもしれません。
説明会を通して見えてきたグループ会社の関心度合い
―今回、パンチアウト連携にあたりAriba利用企業のユーザー向けの利用方法説明会、OSLの導入にあたり各グループ会社の管理者向け導入説明会を開催しました。反応はいかがでしたか。
(平川様)今まで広くカタログ購買について説明会のような機会を設けたことはありませんでしたが、今回のAriba説明会・OSL説明会に多くの人が興味を持ってくれたように思います。
(石川様)意外と多くの社員の方々が参加してくれました。自社の購買方針についての興味関心をある程度持っていただけたと思います。ただ、実際に購買方針を浸透させていくにはまだ時間がかかりますね。
見えてきた新たな課題:グループ会社の持つ考えのギャップ
(石川様)今回新たにOSLの導入を進めたグループ各社の温度差・考えのギャップをまだ感じます。多くの企業ではいまだに「ホームセンターに買いに行くほうが便利」「個別で買ったほうが安く買いやすい」など、従来の買い方にこだわる考えも多くみられます。
購買管理側としては、全体を通したコスト削減や工数の最適化も重要と考えています。1つ1つは外で買ったほうが安いものがあっても、買いに行く工数などを考えれば、購買管理システムを通して買ってほしいです。
ただ、各グループ会社にも、購買管理への関心はあるように感じます。
「コンプライアンス遵守」「ESG経営」「持続可能調達」等の世間の意識は年々高まっていますので、新しいスキームに関心を持たなければという自覚は感じられます。我々間接材グループが、購買部門のヘッドクォーターとしてグループ会社をサポートしていきたいです。
今後の展望や期待
―最後に、お二人に間接材購買領域で今後取り組んでいかれたいことや、モノタロウに今後期待することについてお聞きしました。
より現場にとって「買いやすい」を実現したい
(石川様)カタログの活用バリエーションを増やして、各社員がサクサク買い物できる体制を作っていきたいと思います。まだ潜在的なニーズがある現場もあると思うので、実は使ってみたら便利だった、というようなニーズを掘り出していきたいです。現場のヒアリング活動もぜひまたモノタロウさんにご協力いただけたら良いですね。
グループ会社に方針を浸透させ、購買管理を進めたい
(石川様)OSLの(各グループ会社への)浸透は引き続き頑張りたいと思います。使うこと自体にデメリットは少ないと感じていますが、現状の購買を変えることに負担も伴うので、全社の方針に対し理解を得られるようにしていきたいです。
(平川様)社内で成功事例を増やし、OSLの導入/OSLの活用を促進していきたいですね。
ソーシングに注力し、コスト削減・業務効率化を推進
(平川様)現在、間接材グループの体制自体を見直し、ソーシングとオペレーションにチーム分けし、BPO先とも協力しつつ、よりソーシング業務に注力できるように変え始めています。
今まで取り組んできた工数削減、都度見積や請求書払いの減少には引き続き取り組んでいくとともに、現場だけでなく購買管理の工数も見直して効率化していく方針です。
また、コスト削減の余地もまだ残っており、モノタロウではカタログ利用拡大や、価格の安いプライベートブランド品の購買を増やしていきたいと考えています。


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