【2025年最新調査】大手企業の動向から見る、調達購買部門の課題とトレンド
はじめに:大手企業の調達購買部門を取り巻く現状
近年、調達購買を取り巻く環境は急速に進化し、対応すべき業務が大幅に増加しています。このような状況で、調達購買部門は多様で複雑な課題に直面しています。「他社はどのような課題を抱えているのか」「自社は正しい方向で進んでいるのか」と感じている担当者も多いのではないでしょうか。
今回、大手企業の調達購買担当者407名を対象とした独自アンケート調査を実施し、2025年の調達購買部門が直面する課題や実態について調査しました。本記事では、その調査結果をもとに、他社の動向と最新トレンドを解説します。
※本コラムは調査の抜粋です。完全版はこちら
▼アンケート概要
対象者:年商100億円以上の企業で、モノタロウ大企業サービスメールに登録している方の一部(モノタロウ大企業サービスを利用している企業・利用していない企業の両方を含む)
調査期間:2025年4月17日(火)~5月16日(金)
調査実施:株式会社MonotaRO
出典:モノタロウ アンケート調査『2025年大企業における調達購買の状況』
有効回答数:407名(購買管理者=178名/購買非管理者=229名 ※)
※購買非管理者:間接材を代理発注している、自身で購入しているなど、購買管理業務を担当していない方を指す
調達購買部門の課題と戦略実行における阻害要因
ここでは、購買管理者(178名)の回答に絞り、部門が抱える課題と阻害要因をみていきます。
調達購買全体の課題
最も多いのは「調達コスト最適化」で、近年の価格改定や物価高騰への対応ニーズが背景にあると考えられます。また、調達・購買領域での対応事項は年々増加しており、業務量の増大とともに、継続的な業務効率化が課題となっています。また、購買品の供給不安により、サプライチェーン全体の安定性確保への懸念が広がっていることが読み取れます。
■購買全般(直接材、間接材を含む)にまつわる課題について(n=178)
※複数回答

購買全般における戦略実行の阻害要因
「必要な情報・スキルの不足」が最多回答となり、調達・購買業務における人手不足で挙げられた「高齢化や属人化による、技術・知識の継承」課題も起因すると考えられます。
「組織内の関係者や部署間での連携の難しさ」では、部署横断で関与する購買領域において、関係者の調整が戦略実行のハードルになっていることが見受けられます。
また、「他の業務が優先され着手できない」という声も多く、外部環境の変化に伴い対応業務が増加する中、取り組みが後回しになっている実態がうかがえます。
■購買全般(直接材、間接材を含む) 戦略を進めていく中で当てはまるもの(n=178)

間接材購買特有の課題
最も多いのは「コスト削減・購買品目の統制」です。特にコスト削減は、上記の購買全般に共通する最重要課題と位置づけられています。次に、調達業務の効率化・標準化推進に課題が見られます。背景として、間接材の分散調達という特性上、多くの企業で管理が行き届いていないケースが依然として多いことが考えられます。また、調達データは管理の不十分さや属人化の影響で整備が進まず、戦略的な意思決定に十分活用されていない実態がうかがえます。
■間接材購買領域における課題について(n=178)

間接材購買領域における戦略実行の阻害要因
最も多いのは、購買全般の戦略実行と同様に「必要な情報やスキルの不足」で、分散調達によりスキルや情報が不足しやすいと考えられます。組織間連携や他業務との優先順位も阻害要因として挙げられていますが、間接材購買戦略の重要性を課題として認識していない管理者が依然として多いことが読み取れます。
■間接材購買戦略を進めていく中で当てはまるもの(n=178)

2025年注目すべき2つのテーマ:調達購買業務における人手不足とAI活用
1.人手不足
購買管理者全体の44.2%の方が、人手不足に「非常に深刻」または「やや深刻」と回答しており、管理者と購買者はそれぞれ人手不足に関連する主な課題として以下を挙げています。
■貴社の調達購買業務における生成AIの具体的な活用シーン(自由記述)
管理者(n=178):「人材の確保・教育」「高齢化・属人化における継承問題」「IT化・デジタルツール活用」
購買者(n=229):「業務の引継ぎ・継承」「兼務におけるリソース不足」「アナログな業務プロセス」
2.生成AI・デジタル化活用
調達購買業務における生成AI活用はまだ発展途上にあり、回答者の約70%が未活用と回答しました。多くの企業が業務効率化に向けたAI活用の仕組み作りを試行錯誤している段階にあることが分かりました。
一部または広範囲で活用していると回答した管理者と購買者の主な生成AI活用ケース
管理者:「ユーザーからの問い合わせ対応」「購買データ分析・予測」「レポート作成」
購買者:「サプライヤー情報の収集」「問い合わせ対応」「見積依頼書などの文書作成」
現場の購買プロセスにおける「隠れたコスト」
本章では、現場における業務遂行に不可欠な間接材(消耗品・備品・工具など)の購買プロセスについて、現場担当者が抱える課題の実態を調査しました。
現場の間接材購買プロセスにおける課題
間接材購買が各拠点・個人に依存しているため、組織全体としての統制やルール整備が不十分な状況です。その結果、依然としてアナログなプロセスに留まり、属人化によるコスト増加や非効率な業務プロセスといった課題が現場で顕在化しています。フリーコメントでは、「適した発注先や価格が分からない」「手続きが煩雑で時間がかかる」といった声に加え、本来業務の遅延や労災リスクへの懸念も複数指摘されています。
■現場業務における間接材の購買プロセスに関する課題(複数回答)(n=221)

現場担当者の具体的な不満
現場の調達購買担当者が日常業務で感じている不満として、以下のような声が寄せられました。
■現在の調達・購買業務において、改善が必要であると感じる点や課題(n=221)
※自由記述回答より一部抜粋
- 業務負荷・手間の多さ
- 商品選定、経理書類作成、承認対応にかかる作業負荷
- 購入申請から発注完了までのリードタイムの長さ
- 購買プロセスの煩雑さ・不透明さ
- 煩雑で非効率な購買フローと注文手順
- 承認プロセスの複雑化と不透明性
- 情報共有・体制の不備
- 在庫状況や納期情報の即時把握の困難さ
- 専門人材の不足とノウハウ共有体制の不備
まとめ:2025年に向けた調達購買改革の道筋
今回の調査から、多くの企業の調達購買部門が共通の課題に直面していることが明らかになりました。特に、全社員が関わる「間接材購買」は、業務が複雑で分散しがちなため、抜本的な改善が進みにくい状況です。改革の必要性を感じつつも、後回しになっている企業が多いのが実情です。
外部環境の複雑化、人手不足の深刻化、そしてAI技術の進化といった変化の波を受け、調達購買部門の変革はもはや待ったなしの状況です。改革の第一歩として、まずは自社の現状を客観的に把握し、情報収集から始めることが重要です。
本資料の完全版は下記よりダウンロードできます。
本記事に載せていない、企業様のシステム導入の課題、サプライヤ選定基準についてもご覧いただけます。
https://go.monotaro.com/resources/monotaro_investigation-2025
改革の第一歩!自社の課題を把握する3つのアクション
調査結果を踏まえ、まずは自社の現状を正確に把握することから始めることをお勧めします。以下の3つのアクションは、効果的な改革計画を立てるのに役立ちます。
1. 工数・コスト削減シミュレーション
簡単な入力だけで、現在の購買業務における「コスト削減効果」や「削減可能な業務時間」を具体的にシミュレーションできます。改革後の姿をイメージするために、ぜひお役立てください。
2. 間接材・備品購買業務のチェックリスト
自社の間接材・備品購買業務における発注・請求・購買管理に関する現状の課題をチェックリストで簡単に診断でき、改善のヒントを得られます。現状の業務プロセスを見直す第一歩としてご活用ください。
自社で取り組むべき課題がわかる!間接材・備品購買業務のチェックリスト
3. 間接材購買のお悩み相談・情報収集
モノタロウでも「自社にあった間接材購買を効率化する方法を知りたい」「業界ごとの購買傾向や他社事例を知りたい」と多くご相談をいただきます。同じお悩みをお持ちでしたら、ぜひ個別相談会にてご相談ください。
「課題が明確ではないが、話だけでも聞いてみたい」などカジュアルな情報収集も大歓迎です。
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